セット ジイヨン/SET Sze Yun

セット ジイヨン 准教授

【研究分野】
フォトニクス・ワイヤレス分野
【研究領域】
レーザシステム、光波計測、光デバイス
【研究室URL】
http://www.cntp.t.u-tokyo.ac.jp

研究内容

2003年初めてカーボンナノチューブを用いた短パルスレーザを発振に成功して以来、ナノチューブやグラフェン等のナノカーボン材料を様々なフォトニクスの分野へと応用する「ナノカーボンフォトニクス」という新しい分野を発展させてきました。短パルスレーザ光源は光通信、計測、センシング、化学分析、生物分析、微細加工等の様々な応用があり、各産業に大きく貢献しています。

本研究室では、これらの先端的な短パルスレーザを実用化し、産業応用を目指す研究を行っています。例としては (1)光通信分野に向けた、フェムト秒ファイバーレーザを用いた超高速・高感度光サンプリングオシロスコープ、(2) 車体製造産業に向けた、高繰り返し短尺ファイバーレーザを用いた非接触3次元レーザ形状測定器、(3) 微細加工分野に向けた、シード光源として使用されているフェムト・ピコ秒パルスレーザ、等があります。

以下では最近の主要な研究テーマ例を紹介します:

新しい高信頼性レーザ短パルス発振手法の研究

従来のファイバーレーザにおける短パルス発振技術としては「モード同期方式」が主流となっています。「受動モード同期」の場合は可飽和吸収素子が必要になります。しかし可飽和吸収素子は長期信頼性、耐久性に問題があります。また、「能動モード同期」の場合はレーザーキャビティーの内部に変調器が必要になります。変調器としては低い光パワーにしか耐えられないLN-MZ型変調器や高電圧駆動EO変調器がよく使われています。いずれの変調器も、空間光学素子であり、ファイバーと結合するには高価な気密封止モジュール化が必要となっています。いずれの場合も高光パワー耐性、長期信頼性とコストは大きな課題になっています。
本研究室では、新しい手法で可飽和吸収体なしで同等な短パルス発振ができる技術と、「能動モード同期」レーザとしては変調器なしで短パルス発振させることも可能である技術の研究を行っています。可飽和吸収素子や変調器なしのオールファイバー構成で、高信頼性、高いパワー耐性をもち、さらにコストの面でも有利である短パルスレーザの実現を目指した研究を進めています。

光ファイバー増幅器とその応用における研究

短パルスレーザの出力パワーを増幅するため、利得が高い希土類添加光ファイバー増幅器がよく使われています。しかしながら、ピークパワーが非常に高いフェムト秒パルスには、非線形光学効果が無視できなくなります。本研究室では、短パルス増幅が可能になる低非線形光ファーバー増幅器の研究を行っています。また、自己位相変調効果と分散補償技術を適切に利用し、短パルスの時間幅を更に圧縮することも可能になります。

新素材を用いた高機能光学集積デバイスの研究

本研究室では、ナノカーボン等の非線形材料をポリマー導波路やシリコンフォトニクス導波路と融合した高機能光デバイスの実現を目指した研究も進めています。カーボンナノチューブを用いた単一横モードポリマー導波路の実現により、非線形特性をもつ光集積回路や小型高繰り返しパルスレーザの実現も可能になります。

学生へのメッセージ

セット研究室は山下教授研究室と共同運営しています。また、保立教授研究室とも研究面で協力関係にあります。本研究室では産学官連携および国際共同研究活動を積極的に取り込み、国内外の企業と大学の共同研究を行っています。我々の研究成果は21世紀のグローバル化した社会における経済・産業の発展にも大きく貢献できると考えています。また、本研究室は駒場リサーチキャンパスの先端研にあります。先端研では研究分野の多様性を最大限に生かし、多分野融合研究が特徴になっています。自分の想像力を生かして、”Think out of the box”-パッションをもって、新しいものを創るべく、一緒に楽しく研究しましょう。

図1:駒場研究室第3実験室。
図2:光ファイバ増幅器の実験。
図3:フェムト秒パルスレーザによる超高速光信号の計測。
図4:モード同期パルスレーザと高機能光学集積デバイスの実験系。
図5:ピコ秒レーザを用いた非接触3次元レーザ形状計測実験。