小野寺 宏/ONODERA Hiroshi

小野寺 宏 特任教授

【研究分野】
ナノ物理・デバイス分野
【研究領域】
工学医学連携デバイス(再生医学用デバイス、ウエアラブル人間支援デバイス、生体センシング)、臓器透明化技術の臨床医学向デバイス

研究内容

研究の概要

高齢化が加速する現在、工学・理学・医学研究者連携による新しい視点からの医療介護用電子デバイスの実用化が喫緊の課題です。本研究室では、高齢者・障害者の日常生活動作(activity of daily living)支援だけでなく、健常者やオリンピックアスリートも活用できるウエアラブル電子デバイス開発、再生医学用デバイス開発を目指します。
(1)人体機能解析スタジオ(新設)を活用し、運動障害患者や高齢者の生活を支援するウエアラブル電子デバイスの開発と実用化、健常者やオリンピックアスリートのトレーニングとスキル向上のためのウエアラブル運動解析システムの開発。
(2)半導体技術の医学応用による3次元人工臓器開発(幹細胞、iPS細胞の活用)と光応答遺伝子による神経制御技術の実用化。

研究の特色(最強の工学・理学・医学連携研究を)

日本再生の柱として医工連携による再生医学研究と実用化に期待が集まっています。本研究室の特徴は医学、工学研究者の完璧な連携により電子デバイス開発と実用化が可能であることです。小野寺は臨床医として診療にあたるとともに(認定内科医、神経内科専門医)、科学技術振興機構CREST(iPS細胞もCREST支援によるものです)において工学理学研究者との共同研究を進めてきました。この経験を生かし、工学・理学・医学研究者の真の連携による画期的な医療用デバイスを開発します。我が国が誇る最先端の半導体技術・微細加工技術をもってすれば画期的な再生医学デバイス、人体機能回復・運動支援システムの開発は可能です。若く柔軟な脳を持つ皆さんの参加を期待します。なお、染谷関谷研究室との連携により最先端の電子回路の知識と技術を習得してもらいます。染谷関谷研が世界に誇るフィルム電子デバイスを再生医学および人体機能解析に活用していきます。

人体機能解析と運動支援のためのウエアラブルデバイス開発

2014年に新設された人体機能解析スタジオ(図1)を活用し、障害者・高齢者さらに健常者とオリンピックアスリートの運動機能評価とスキル向上用のウエアラブル電子デバイスを開発します。フィルム電極によるブレインマシンインターフェース、フィルム圧センサ、水分センサ、血流センサなどを統合した超軽量生体情報検出システムおよびウエアラブルロボット装具の実用化を目指します。その成果は今後の医療福祉分野において不可欠のウエアラブルデバイスに発展すると信じます。

半導体技術・微細加工技術の再生医療への応用

iPS細胞による脳の再生医療に期待が高まります。しかし神経細胞を病気の脳に移植しても、神経線維阻害因子に邪魔されて機能回復には至りません。そこで我々は神経接着分子・栄養因子・遺伝子発現ベクターを搭載するナノレベル細胞足場を開発しました。神経回路再建および光による神経活動制御(光応答遺伝子導入)による疾患治療を目指しますが、染谷関谷研と共同開発するフィルム状光刺激装置が活躍します。動物実験と神経機能解析(functionalMRI等)は関野研究室と連携して実施します。半導体技術と微細加工技術、3次元プリント技術を応用し、全く新しい3次元細胞培養システムを開発します。これによりiPS細胞や幹細胞からの3次元的臓器再建を可能にする技術の開発を目指します。

臓器透明化技術

全ての臓器を透明にできる組織処理技術を開発しLUCIDと名付けました。多光子顕微鏡とLUCIDを用いて臓器の内部構造を解析できます。この技術は埋込型電子回路の安全性評価や3次元人工臓器の開発にも威力を発揮します。理学研究者とともに新しい光学システムを開発し、臓器の立体構造や病変部位を描出する全自動3次元臓器解析システム開発を目指します(レーザー光学・微細加工技術、機械制御技術、画像解析技術)。

学生へのメッセージ

我国の研究者の多くは世界最高レベルの専門知識と技術を持っています。しかし異分野研究者との共同研究に関しては、欧米の研究者に比べると苦手なのではないでしょうか。本研究室では工学:理学:医学という多分野の研究者が共に知恵を絞り、真に世の中に役立つ成果(ものづくり)を目指します。医学や薬学という異分野の研究者や学生との共同作業は、複眼的視野で全体像を把握できる力を養う絶好の機会であり、卒業後も役に立つと信じます。貿易赤字の30%は医療分野の輸入超過によるものです(医療デバイス赤字約1兆円)。日本の新しい輸出産業創出を目指し一緒に研究してみませんか?

図1:フィルムセンサー、装着型ロボットを活用し人体機能を統合的に解析
図2:マイクロ足場を介して神経細胞に遺伝子を導入し、神経活動を制御
図3:脊髄障害ラットに光応答遺伝子を導入し、光で運動機能回復を促進
図4:臓器透明化技術でラット全身を透明化(左)、小腸3次元画像(右)