浅田 邦博/ASADA Kunihiro

浅田 邦博 教授

【研究分野】
半導体システム分野
【研究領域】
順応型LSI設計と応用
【研究室URL】
http://silicon.u-tokyo.ac.jp

研究内容

拡張現実(Augmented Reality)システム

拡張現実システムとは、人間の五感では感知できないコンピュータ情報(ID)を実世界に散布・取得し、それを効果的にユーザに提供するシステムのことです。すなわち、画像・形状などのイメージング情報と情報通信との融合です。これらを実現するために、売り物の部品を組み合わせてシステムを組むのではなく、自分で専用LSIを設計することで誰にもマネのできない拡張現実システムを構築します。

1)IDビーコン検出システム
物体に発光デバイスを張り付け、その点滅にID情報をビーコンとして乗せます。我々の研究室で独自に開発した専用イメージセンサで撮像することで、その物体の画像と同時にID情報も取得し、それらをPC上に表示することができます。。

2)方向性アンテナを用いた情報取得システム
これは、LSIチップ内にアンテナをアレー上に配置し、動作タイミングを制御して方向性アンテナを形成することで、任意の方向の物体を感知することができます。

LSIの自己診断・自己修復

トランジスタのゲート寸法が100nm以下になり1000万個のトランジスタが1チップに集積可能になって高機能化が実現された一方で、製造された回路の特性がばらついたり、使用中徐々に特性が劣化したり故障したりするようになっています。LSIが日常に広く浸透した現在、LSIの故障は社会的混乱だけでなく、命の危険に晒されることにもなりかねません。それらを防ぐために、LSIの製造ばらつきを観測するモニタと内部状態を常に観測して異常を自分から報告する自己診断回路や、異常が発生した場合に自律的に治療する自己修復回路が不可欠となってきます。

1)リアルタイム温度モニタ
チップの動作状態によって、チップ内部に温度分布が生じます。その温度分布をモニタすることで、温度が高くなり過ぎたら周波数を下げて電源電圧を下げるなどの発熱を抑える処置を行うことが可能になります。

2)アクティブ基板ノイズキャンセル
微小電圧を扱うアナログ回路と大規模ロジック回路が1チップに集積化されるようになると、ロジック回路が発生するノイズがSi基板を通じてアナログ回路に悪影響を与えることになります。それを防ぐため、ノイズに対して逆相の電流を注入することで動的にノイズをキャンセルして安定動作を確保することが可能になります。

学生へのメッセージ

我々の研究室では、エレクトロニクスの基本要素であるLSIを用いて、生活をオモシロく・快適にするための研究を行っています。LSI回路に落とし込まれた新しいアイデアは、VDECを通じて実チップとして試作されます。そのチップを自ら測定することで、自分の理論を実証し、新たな発見を得るとともに、アイデアが目の前で現実化されることの「気持ちよさ」も体験することでしょう。

図1:IDビーコン検出システム
図2:方向性アンテナによる情報取得システム
図3:リアルタイム温度モニタとアクティブ基板ノイズキャンセル
図4:実チップの測定風景