EEIS 東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻

関野 正樹 教授

本郷キャンパス

バイオ・複雑系
生体医工学・生体材料
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脳科学 脳計測科学
電子デバイス・電子機器
医学物理学・放射線技術学

エレクトロニクスで拓く神経の計測、刺激、医療デバイス

神経活動から発生する微弱な磁場を検出できる超高感度磁気センサ、パルス磁場による神経の刺激と制御、がんの転移診断のための磁気センサなどのバイオ・医療技術の研究をAIも取り入れながら進めています。

研究分野1

脳の磁気刺激

経頭蓋磁気刺激は,頭部に置いたコイルからパルス磁場を発生させ,脳内に誘導される電流により神経を刺激する診断・治療法です.有限要素法を用いた数値解析により,磁気刺激における磁場分布や脳内電流分布を解析し,コイル設計や刺激条件の最適化に利用します.他大学や企業と連携して,患者が在宅で使用できる小型磁気刺激装置の開発および実用化にも携わっており,誘導電流発生の効率を高める新しいコイル形状の提案や,試作機の製作に取り組んでいます.
研究分野2

MRIの新規画像計測技術

MRI (magnetic resonance imaging)は,超電導マグネットが発生する強磁場の下に置かれた人体や各種測定対象から発生する磁気共鳴信号をもとに,断層像を得る技術です.脳卒中や癌をはじめ,様々な病気の診断において,MRIから得られる鮮明な画像が欠かせません.従来のMRIは形態的情報を得ることに主眼が置かれていたのに対して,当研究室では電流や磁場,導電率,誘電率などの電気的情報を可視化する新たなMRI測定手法に取り組んでいます.これまで,神経活動に由来する微弱な磁場の検出にもとづく新しい脳機能イメージングや,異方性まで含めた生体組織の導電率のイメージングなどに成功しています.
研究分野3

センチネルリンパ節を特定する磁気プローブの開発

乳がんの治療法は、病巣周囲のリンパ節への転移の有無によって変わり、転移があった場合はリンパ節も併せて切除するため、むくみ等の合併症が発生します。不必要なリンパ節切除を避けるため、がんに最も近いリンパ節(センチネルリンパ節)を探して病理検査を行うことが求められます。そこで、がん病巣からリンパ系へ導入した磁性流体を体外の磁気プローブによって検出し、センチネルリンパ節を特定するシステムを、開発しています。従来法とは異なり放射線を使わず、永久磁石と小型磁気センサから成るシンプルな構造のため、患者を対象とした臨床研究が早期に開始され、従来法に対する優位性を示すことができています。
研究分野4

局所血流障害の即時検出を可能にするフレキシブルデバイスの開発

乳癌の切除を行った後、生活の質を高めるために、組織移植によって乳房を再建する例が増えています。移植された組織には、術後一週間程度にわたり、血栓が生じる場合があり、血流異常を即時に検出するシステムが求められています。そこで,移植された組織の皮膚に貼り付けて血流状態をマッピングするための、シート状のウェアラブルセンサを開発しています。カメラ等の従来技術では、数時間間隔の観察となり、障害の発見が遅れることがありました。本デバイスは常時観察が可能で、マッピングにより局所的な血流障害も検出できます。
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