強相関電子系酸化物では、構成陽イオンの価数によって電気・磁気・光学特性が大きく変化するという魅力的な特徴を有しています。我々は特に、無毒で環境親和性に優れ、地球上に豊富に存在する資源である酸化鉄に注目し研究を進めています。原子価・結晶構造を原子レベルで精密に制御することにより新しい機能性酸化鉄材料を創製するとともに、それらを用いた高効率太陽光エネルギー変換素子や室温スピントロニクスデバイスの開発を行っています。

現在、光や熱、振動などの微小エネルギー源を用いた発電技術に関する研究が盛んに行われていますが、これらの研究のほとんどは、古くからよく知られている物理現象に立脚したものです。これからの高度情報化・環境調和型の社会において安定した電気エネルギーの確保・供給を実現するためには、従来にない概念・学理に基づく革新的なエネルギー変換機能の創出が必要です。本研究では、これまでエネルギー変換の研究分野ではほとんど注目されてこなかった電子・磁気機能の「ゆらぎ」に焦点を当て、ゆらぎ材料に特有の光や熱に対する極めて敏感な応答性を積極的に利用した、新たな発電原理の確立を目指しています。