電気系工学専攻 博士3年の髙田真悟さんが、総長賞を受賞しました。
<受賞した賞の名称と簡単な説明>
東京大学総長賞:本学の学生として、学業、課外活動、社会活動等において特に顕著な業績を挙げ、他の学生の範となり、本学の名誉を高めた者」(個人又は団体)について、総長が表彰を行うものです。
<受賞された研究・活動について>
題目:スピン軌道相互作用の強いオールエピタキシャル強磁性酸化物ヘテロ構造におけるスピン流-電流変換と磁気輸送現象:現代の情報技術社会では、情報量の急速な増加が情報処理デバイスやメモリの消費電力を増大させ、これが大きな課題となっています。この問題を解決するために、電子のスピン(電子の磁石としての性質)を用いたスピントロニクス技術の研究が活発に進められています。スピントロニクスデバイスは、(磁石)の磁化の向き(NSの向き)を利用してデータの"0"と"1"を記録します。この方式では、電源がオフでもデータを保持でき、消費電力の削減が期待されています。特に注目されているのは、電子のスピン流と電流の相互変換現象「スピン流-電流相互変換」を利用したデバイスで、この変換の効率が高ければ高いほど、デバイスの低消費電力化が可能です。本研究では、ペロブスカイト酸化物LaTiO3+δ/SrTiO3界面に形成される二次元電子ガスを用いて、これまでの様々な材料系で達成された中で最も高いスピン流-電流変換効率を実現しました。また、理論計算により高いスピン流-電流変換効率を得るための材料設計指針を示しました。さらに、超低消費電力メモリの実現に向けた強磁性体および新規物理現象の探索を行い、デバイスの実現に向けた新たな指針を示すことができました。
<今後の抱負・感想>
このたび、東京大学総長賞をいただき、光栄に思います。この名誉ある賞を受賞できたのは、指導教員である大矢 忍教授、共同研究者である田中 雅明教授、そして数多くの共同研究者の皆様の絶え間ないサポートとご協力のおかげです。心から感謝の意を表するとともに、この賞を励みに、今後も研究に邁進して、成果を社会に還元できるよう精進してまいります。
