EEIS 東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻
廖 智強 さん(受賞時:電気系工学専攻D3、現:バイオエンジニアリング専攻JSPS特別研究員(PD))が「Outstanding Presentation Award」を受賞されました。
論文・受賞
2023.11.20

2023年8月21日、廖 智強さん(受賞時:電気系工学専攻D3、現:バイオエンジニアリング専攻JSPS特別研究員(PD))が第1回北京学際科学会議において「Outstanding Presentation Award」を受賞されました。

<受賞した賞の名前と簡単な説明>

Outstanding Presentation Award

本賞は、北京学際科学協会および北京学際科学会議で授与され、優れたプレゼンテーションを行い、多岐にわたる研究分野で革新的な貢献を行った個々のプレゼンターを表彰することを目的にしています。

<受賞された研究・活動について>

Zhiqiang Liao, Zhuozheng Shi, Hitoshi Tabata, “Enhanced Intelligent Diagnosis of Epileptic Electroencephalogram Based on Asymmetric Stochastic Resonance,” 1st Beijing Interdisciplinary Science Conference, Beijing, China, Aug. 2023.

てんかんは慢性的な神経系の疾患であり、発作が突然の痙攣などの症状を引き起こすことがあります。突発的なてんかんの発作による患者の被害を防ぐために、自動かつ正確な知能を備えたてんかん診断システムの開発が広く注目されています。非侵襲的な脳波はノイズの影響を受けやすいという特性を考慮して、従来の知能診断システムではさまざまなフィルターが必要でした。しかし、これらのフィルターはノイズを除去する一方で、脳波の一部の有効な情報も失わせることがあります。以上の課題を解決するため、本研究では、非対称性確率共鳴ユニットを、畳み込みニューラルネットワークに基づくてんかん発作予測システムの前処理モジュールとして提案しています。非線形ダイナミクスの分析を通じて、本研究では非対称性確率共鳴ユニットが脳波の異なる周波数成分の利得係数を調整する能力を示し、知能システムに注意機構 (attention mechanisms)に類似した効果をもたらすことが示されました。成人および小児のてんかん頭皮脳波データベースでそれぞれテストを行った結果、本研究では非対称性確率共鳴ユニットが他の前処理方法に対する優位性を明らかにしました。

用語説明:

・非対称性確率共鳴ユニット(asymmetric stochastic resonance unit):確率共鳴とは、システムへの入力があるレベルのノイズを含んでいる場合に、そのノイズがシステム内の非線形要素と相互作用し、システム全体の効率や感度が最適化される現象。非対称性確率共鳴ユニットは、非対称な構造や要素を持つことによって、確率共鳴現象を誘発し、系内部の反応や応答が特定の方向や特定の条件下で増強される特性を持つ。

・注意機構(attention mechanisms):注意機構は、モデルがデータの特定の部分に集中し、重要な情報に注目できるようにするための仕組み。

<今後の抱負・感想>

共同研究者の皆様との協力のおかげで、このような名誉ある賞をいただけたことに心から感謝しています。今後も一層精進し、さらなる成果を目指してまいります。

URL: https://mp.weixin.qq.com/s/ppXW0LNn7pO1E-VQgNBdPQ

一覧に戻る