大学院工学系研究科 電気系工学専攻 山岸健人講師が、Innovators Under 35 Japan 2024 を受賞しました。
<受賞した賞の名称と簡単な説明>
Innovators Under 35 Japan 2024 Innovators Under 35は、MITテクノロジーレビューが主催する世界的なアワードで、若き才能あるイノベーターを讃え、その活動を支援することを目的としています。1999年に始まり、毎年、技術革新や創造的な技術応用を通じてグローバルな課題解決に取り組む優れたイノベーターを選出しています。 Innovators Under 35 Japanは、そのローカル版であり、日本が抱える少子高齢化やインフラの老朽化といった課題に対し、テクノロジーを駆使した解決策を発信する人材を発掘することを目指しています。 11月20日(水)には、東京・日本橋ホールにて、受賞者を紹介する「Innovators Under 35 Japan Summit 2024 in Nihonbashi」が開催され、山岸先生も登壇する予定です。本イベントの模様はオンラインでも配信されます。 詳細はInnovators Under 35 JapanのWebサイトをご覧ください。 https://events.technologyreview.jp/iu35/
<受賞された研究・活動>
私の研究チームは、極薄の柔らかい電子デバイスの開発を通じて、スポーツ科学と医療分野の発展に貢献することを目指しています。特に、私たちが開発した「電子ナノ絆創膏」は、世界で初めて野球選手の投球時に手のひらの筋電位を計測することに成功しました。この技術は、膜厚わずか数百ナノメートル(1ナノメートルは10億分の1メートル)の極薄で柔らかい電極を皮膚に直接貼り付け、装着者の動きを妨げずに正確なデータを取得できる点が大きな特徴です。さらに、企業との協力により社会実装が進み、アスリートの運動解析やヘルスケア分野での応用が広がっています。今後は、音楽家や外科医など、精密な動作が求められる分野への展開も期待されています。 加えて、私の研究チームは、光線力学療法(PDT)のための生体組織接着性無線発光デバイスも開発しました。このデバイスは、腫瘍組織にシールのように貼り付けることができ、光感受性物質を利用してがんを標的とした治療を行うものです。世界初の体内埋め込み型PDTシステムとして、担がんモデルマウスでその有効性が実証され、今後の臨床応用に向けた大きな一歩を踏み出しました。この成果は、がん治療における光技術の精度を飛躍的に高めるものと期待されています。
<今後の抱負・感想>
今回の受賞にあたり、研究活動にご尽力いただいた共同研究者の皆様、そして研究生活を支えてくれた家族や友人に、深く感謝申し上げます。 幼少期から野球、陸上競技、柔道といったスポーツに打ち込んできた私にとって、自分の研究がスポーツ科学の発展に寄与するものとして評価されたことを、大変嬉しく思います。少年時代に抱いたアスリートとしての夢は叶いませんでしたが、研究者として日本のスポーツ文化の進展に貢献できる喜びを感じています。今後も「電子ナノ絆創膏」を基盤にした新たな生体計測技術の社会実装を目指し、研究に邁進していきます。また、アスリートの技術向上の一助となる新技術の開発にも取り組み、その成果の一つとして、いつか愛する中日ドラゴンズの日本一に貢献できる日がくることを夢見ています。 さらに、がん治療に関する研究では、超薄膜と光技術を融合させた日本発のがん治療法を、一日も早く実用化し、患者に届けられるよう全力で研究に取り組んでいきたいと思います。