田中 剛平/TANAKA Gouhei

田中 剛平 特任准教授

【研究分野】
バイオ・複雑系分野
【研究領域】
複雑系動力学、省エネルギー情報処理
【研究室URL】
http://www.sat.t.u-tokyo.ac.jp/~gouhei/index_jp.html

研究内容

本研究室では、主に数理モデルや数理的手法を用いて、社会や産業における重要課題を解決することを目指しています。現在、日本アイ・ビー・エムと共同で、省エネルギーを目指した、次世代ナノ・マイクロシステムに関する研究を重点的に行っています。また、合原研究室と連携をとりながら、複雑系に関する幅広い研究テーマに取り組んでいます。以下に、研究テーマの例をご紹介します。

省エネルギー情報処理

さまざまな社会インフラや製品の基盤となる次世代情報(演算)処理装置の省エネルギー化を目指しています。特に、生物脳のように高性能な学習が可能な情報処理システムの実現を目標としていますが、現在そのような大規模なネットワークを低消費電力で実現するのは困難です。そのため、デバイスの超微細化や構造の縮約などの工夫によって、消費電力を大幅に下げることが課題となります。低容積・低消費電力でありながら、高度な情報処理機能を実現している実際の神経ネットワークを参考にして、情報処理システムを省エネルギー化するための手法を探求しています。本研究は日本アイ・ビー・エムとの共同研究です。

医療・社会システムの数理モデル研究

センサーデバイスなどの発達によって、従来は得られなかったさまざまなデータがとれるようになってきています。医療や社会現象に関するデータを用いて数理モデリングを行い、実問題の解決を目指しています。例えば、がんなどの病気の状態をモニタリングしてバイオマーカーデータが得られれば、数理モデルをベースとして適切な治療法を探ることが可能となります。また、人々の移動や接触関係のデータから、感染症がどのように広まるかを理解し、有効な予防法や治療対策を数理的に考察することができます。さらには、オンラインメディア等における人々の社会的交流のデータから、意見形成や集団極性化などの社会現象のメカニズムを調べることができます。数理技術を活用することで、ライフサイエンスに貢献する研究を行っています。

ネットワーク動的頑強性

生体ネットワークや電力ネットワークなど、要素が相互作用して全体として機能を発揮するシステムが世の中には多く見られます。ネットワーク化は、利便性を向上させたり無駄を削減したりするメリットをもたらしますが、部分的な故障が起きた時にそれが波及して全体としての機能に致命的なダメージを与えるというリスクも伴います。そこで、ネットワーク構造、ダイナミクス、相互作用などに依存して、ネットワークの頑強性がどのように変わるのかを数理的に調べています。それをもとに、頑強なネットワークの設計手法やダメージを受けたネットワークの効率的な回復方法を提案します。

複雑系動力学

システムの定性的変化や複雑化のプロセスを理解するための基礎数理的研究を行っています。同じ物質やシステムでも、環境や条件が変化すれば、その振る舞いは単純から複雑へ、秩序から無秩序へ、また規則から不規則へ、といった定性的変化を示すことがよくあります。力学系理論における分岐理論や物理学における相転移理論を基礎として、そのような質的変化が起こるときの対象の特異性を数学的に特徴づけることにより、どのような条件の下で現象の時間的・空間的複雑化が生じるのかを理解したいと考えています。

学生へのメッセージ

私たちが日常的に接している便利なテクノロジーには、表にはなかなか現れませんが、数理的な考え方や手法が役立っています。人々が関心を持つ社会問題についても、数理的な見方を取り入れることで、解決の糸口が見えたり、専門家に有益な情報を提供できたりすることが少なくありません。ぜひ興味ある現象や問題を見つけ、数理的アプローチを駆使して、社会に役立つような研究をしてみませんか?最先端の研究を身近に感じながら、楽しく研究活動が推進できるように、サポートしていきます。チャレンジ精神を持った方と研究活動を行っていければと期待しています。質問等がありましたら、メールで気軽にご相談ください。

図1:振動子ネットワークの動的頑強性
図2:前立腺がん間欠的ホルモン療法における再燃・非再燃の解析
図3:季節変動を考慮した感染症数理モデルの解析
図4:複素ニューラルネットワークによる画像復元