齋藤 宏文/SAITO Hirobumi

齋藤 宏文 教授

【研究分野】
システム制御・宇宙分野
【研究領域】
小型衛星、衛星搭載合成開口レーダ、高速衛星通信
【研究室URL】
http://www.isas.jaxa.jp/home/saito_hirobumi_lab/

研究内容

齋藤研究室では、学生が直接参加できる形で、小型高機能衛星の研究や開発を行っています。2005年8月には、齋藤研が中心となり開発した70kgの3軸姿勢制御のれいめい衛星(写真)を打ち上げました。10年弱が経過した2015年6月現在も順調に飛行しており、研究棟屋上に設置された3.8mパラボラアンテナを利用して衛星運用を行っています。この成果により、2009年度の日本航空宇宙学会技術賞を受賞しています。
現在では、小型衛星の機能を飛躍的に高めるよう、小電力の高速ダウンリンク通信の研究を行い、ほどよし4号衛星を用いて、500Mbps(64APSK変調)のダウンリンク衛星通信の宇宙実証に成功しています。さらに、内閣府研究プログラムImPACTに採択され、2016-2018年度で小型合成開口レーダを開発することに着手しています。

マイクロ波合成開口レーダを100kgクラスの小型衛星に載せる

現在では、小型衛星による地球観測は、光学観測が主体です。その次を見据えた技術開発は、夜間や荒天候時にも観測できるマイクロ波合成開口レーダを、100kgクラスの小型衛星に搭載することです。マイクロ波の目で見れば、夜でも曇りでも地表が見通せます。
しかし、マイクロ波合成開口レーダの難しさは、大電力のマイクロ波を数mの大きさのアンテナから放射する必要であるところです。これを解決するために、東工大と協力開発のハニカム一層構造スロットアレイ平面アンテナを折りたたんでロケットに搭載し、軌道上で展開します。効率の高いマイクロ波増幅器、大電流の放電ができるバッテリ、発生する熱を一時的に閉じ込める蓄熱器など、ユニークな技術を組み合わせていままで出来なかった事を実現していきます。内閣府研究プログラムImPACTに採択され、2016-2018年度で小型合成開口レーダを開発することに着手しています。

地球観測した大量のデータを高速伝送する

小型衛星から、マイクロ波の目で地球観測ができたら、次は、大量の観測データを地上に伝送することが必要です。従来、小型衛星では高々100kbpsbps程度の通信速度しか実現できませんでした。これでは1日に、衛星から撮像した数10枚の画像しか地上に伝送できませんでした。これを飛躍的に高速化(5000倍!)して大量な画像データも伝送できるように、300 - 500Mbpsのダウンリンク通信ができるようなシステムを開発しました。衛星搭載送信機に、電力変換効率が高いGaN HEMT半導体増幅器を採用し、非線形な歪を極めて小さくすることに成功しました。東大工学部航空宇宙工学専攻の中須賀研グループと共同して、50kgの小型衛星“ほどよし4号”を用いて、64APSKという変調方式を用いて500Mbpsという高速通信を軌道上実証しました。なお、この通信速度は、50kg級衛星の世界最高通信速度です。更に、採択された内閣府ImPACTプログラムでは、2Gbpsの超高速通信技術を開発し宇宙実証します。

学生へのメッセージ

齋藤研究室の特徴は、宇宙開発の現場にあるという点です。実際の宇宙ミッションで使われる技術開発を行うことをモットーにしています。宇宙の実感を肌で感じながら、宇宙工学を研究したい人は、ぜひ齋藤研においでください。また外国人学生も多く滞在し、国際色豊かな研究室です。

連絡先 齋藤宏文 koubun@isas.jaxa.jp

れいめい衛星と、開発に参加した齋藤宏文研究室のメンバー
マイクロ波合成開口レーダを100kgクラスの小型衛星に搭載する
50kgの小型衛星から300Mbpsの高速データを地上局にダウンリンクする通信システム