大崎 博之/OHSAKI Hiroyuki

大崎 博之 教授

【研究分野】
環境・エネルギー分野
【研究領域】
超電導工学、電気エネルギー変換機器工学
【研究室URL】
http://www.ohsaki.k.u-tokyo.ac.jp/

研究内容

電気エネルギーの効率的利用と先進的電磁界応用システムの実現を目指して、超電導体などの先端材料を活用し、優れた特性を有する電気機器およびシステムの研究を進めています。電磁気学を始めとする電気系基礎科目や、超電導工学、電気機器学などベースに、実験と理論解析、数値シミュレーションを駆使して研究を進め、その対象は、電力・エネルギー分野から交通輸送、産業応用、医用分野などに広がっています。

超電導エネルギー工学(超電導体の電磁現象と応用機器・システム)

超電導現象の発見から100年、高温超電導体の発見からは1/4世紀が経過し、超電導機器・システムは現在、実用化に近いレベルまで技術的に発展してきました。私たちの研究室では、幅広い分野での超電導技術の実用的応用を目指して、機器の視点から電磁現象の解析やシステム検討、フィージビリティ研究などを進めています。

(1)電力・エネルギー分野:再生可能エネルギーの導入拡大へ向け、洋上風力発電などへの適用が期待される10MW級大型風力発電機の検討を行っています。大トルク、超低速回転を特徴とするこのような発電機について、従来技術では達成が極めて困難な軽量・コンパクト構造を目指し、三次元有限要素法を使った電磁界解析に基づく特性評価および発電機概念設計を進め、可能性を検討しています(図1)。また、電力系統における事故電流を抑制するための超電導限流器、超電導技術に基づくエネルギー貯蔵システムなどの設計研究、特性解析、モデル実験なども行ってきました。

(2)交通輸送・産業応用分野:超電導磁気浮上鉄道用の高温超電導マグネットの設計や、鉄道の電力供給システムに超電導ケーブルを適用することによるシステム損失低減や変電所数削減の可能性等について検討しています。また、超電導技術による機器の小型軽量化、高出力密度化に着目して、産業分野向けの超電導モータの検討も進めています。

(3)医用・計測分野:高温超電導線材を用いて、時間的・空間的に均一性の高い磁界を発生するための超電導マグネットの研究を進めています(図2)。高い磁界均一性は、核磁気共鳴(NMR)分光計や核磁気共鳴イメージング(MRI)装置のマグネットにおいて欠かせません。また、MRI用の新しいコイル構成や測定法、さらには超高感度磁気センサである超電導量子干渉素子SQUIDを利用した低磁界MRIにも取り組んでいます。

(4)超電導体の電磁現象:超電導体中の電磁現象を明らかにするため、有限要素法を用いた電磁界・熱伝導場・電気回路等の連成解析ツールを開発し、様々な数値解析を行っています。それにより、優れた磁束ピン止め特性を有する希土類系バルク超電導体を強力な磁束源(マグネット)や磁気遮蔽材として利用し、モータやMRI、NMR等へ適用する可能性を探り、あるいは高温超電導薄膜をベースとする超電導線材や抵抗型限流器の電磁的および熱的特性の解明などを行っています(図3)。

先進的電磁界応用機器・システムの研究

電磁力応用機器及びシステムは、永久磁石や超電導体などの材料面での進歩による高性能化が進むとともに、多自由度ドライブなど、応用分野の拡大がみられ、私たちの研究室でも様々な形式のリニアモータやアクチュエータ、磁気浮上システムの解析や実験的検討を行っています。例えば平面上でのダイレクトドライブにより高精度位置決めを目指すサーフェスモータ、磁気浮上鉄道の車両運動解析(図4)、各種機器内の渦電流や鉄損の解析などの研究を進めてきました。

学生へのメッセージ

エネルギー、特に電気エネルギーを発生、輸送、利用する電気機器の性能・特性の向上に対する要求が高まる一方で、CO2排出量削減や電力品質向上に対する要求を始めとする環境問題はますます重要性は増してきています。このような課題、問題を解決する電力用、輸送用、産業用の各種電気機器の研究開発を進める上で、若い研究者、技術者の力が求められています。エネルギーや環境、社会・経済などに幅広い関心を持って、超電導体などの新しい材料や技術の導入と最適設計などに基づく電気機器システムの研究にぜひ取り組んで欲しいと思います。何事にも積極的に取り組む学生であることを期待しています。

図1:10MW級超電導大型風力発電機の研究
図2:高温超電導線材中の遮蔽電流分布測定
図3:超電導限流素子の電磁界・熱伝導場・電気回路連成解析
図4:多自由度アクチュエータおよび超電導磁気浮上鉄道の車両運動解析