夏秋 嶺/NATSUAKI Ryo

夏秋 嶺 講師

【研究分野】
フォトニクス・ワイヤレス分野
【研究領域】
計測工学、合成開口レーダ、リモートセンシング
【研究室URL】
http://www.eis.t.u-tokyo.ac.jp/

研究内容

電波を使った観測が私たちの研究テーマです。電波を使った観測により、電波が伝搬する過程や観測対象の性質、変動などを調べるのです。例えば、人工衛星から地球を観測する場合、写真のような光学センサで観測しようとすると、太陽が出ている昼間しか観測できず、また雲などによって対象を観測できない問題があります。しかし、電波であれば昼夜、天候に関係なく観測ができます。さらに、電波の位相や偏波を組み合わせることで、より複雑で詳細な情報を引き出すことができるようになるのです。そこで、私たちは廣瀬明研究室と密接に連携して、適応的な信号処理により高精度なアクティブセンシングの研究を進めています。

合成開口レーダ

電波を送受信するアンテナは大きければ大きいほど弱い信号まで受信できます。しかし、搭載できる重量や大きさに制限がある人工衛星のようなものには、相応の大きさのアンテナしか積めません。一方で、観測対象はほとんど動かない地球であり、人工衛星はその地球を周回しています。そこで、人工衛星と観測対象の位置関係を利用して多数の観測信号を処理すると、数メートルの分解能を実現できるようになります。ところが、散乱源の変動や電波伝搬の過程で歪みが生じると、局所的な歪みとしてレーダ画像へ現れます。この歪みを解消することで解析の精度を高める研究をしています。

干渉解析

電波を観測対象へ照射して、対象からの散乱波を受信しているために、レーダ画像には光学画像と違い位相や偏波の成分が含まれています。これらを解析することで、地震や火山による地殻変動をセンチ単位で把握したり、地表面の状態を把握したりといった、様々な利用が可能になります。レーダ画像の振幅値だけならば一般的な光学画像と同様に扱えますが、位相や偏波の成分を含めると単純な計算では成り立たなくなります。しかし、位相や偏波を含んだ画像を直感的に扱える人はいません。そこで、レーダが捉えた情報を計算機が従来より精度よく解析する研究をしています。

学生へのメッセージ

私たちは、見えない電波が多様に活躍する研究をしています。レーダを利用したアクティブセンシングは昼夜、天候の影響なく対象を観測できます。また、人工衛星や航空機に搭載することで、離れた場所から面的に、高速に観測することができます。さらに、人が知覚できない位相や偏波をも組み入れることで、生身の人には見えないものまでもが見えるようになります。しかし、機械が人を超えて電波を知覚するには、先んじて人が電波を学び、それを踏まえ機械を設計せねばなりません。私たちと共に未来を拓くみなさんをお待ちしています。

図1:SAR干渉画像歪み除去のための局所的な位置合わせ
図2:SAR干渉解析を利用した火災物の抽出