廣瀬 明/HIROSE Akira

廣瀬 明 教授

【研究分野】
フォトニクス/ワイヤレス グループ
【研究領域】
ワイヤレス エレクトロニクス、ニューラルネットワーク(脳型信号情報処理)
【研究室URL】
http://www.eis.t.u-tokyo.ac.jp/

研究内容

脳・神経系の情報処理の根底にある原理を発展させ活用して、新たな情報エレクトロニクスの分野を開拓しています。たとえば、脳の原理をレーダ システムの認識モジュールとして具現化することにより、人間のように世界を学んでゆく電子の眼を実際に構築してゆきます。またそれに必要となるアンテナや高周波回路などの電子サブシステムを新たに開発します。

脳の不思議 <脳が行う柔軟な情報処理が面白い>

生まれて間もない赤ちゃんでも、母親の顔などを目で追いかけようとします(赤ちゃんの追視)。これは人間が生きてゆく上で必要な無意識な行動です。このような動作は<パターン処理>とよばれ、その原理は普通のコンピュータのロジックとは全く異なります。パターン処理は、人間の単純な反射から複雑な「気分」や「第六感」に至るまで、行動のあらゆるレベルで見られます。一方、多くの大人はコンピュータが行うような論理的な思考(おつりの計算など)も行うことができ、これは<記号処理>とよばれます。この両方を「脳」はやってのけています。

工学的利用 <脳的原理を活用する>

われわれは脳の情報処理の基礎原理を見極め、新しい脳的な機能をエレクトロニクス分野に創造することによって、社会に役立ちしかも面白い世界をさまざまに構築しています。たとえば、電波や光波の「位相を見ることができる眼と脳」による図1のようなレーダ・システムを開発し、プラスチック地雷を土塊や金属片から高い確率で区別できる地雷可視化レーダを実現することに成功しました。その機能は、従来の地中レーダの弱点を 新しい視点による技術で克服しています。現在、それをさらに発展させるべく、たとえば「地雷とは何か」といった概念を自ら形成して利用するシステムの構築や、より効果的な情報収集が可能な新アンテナの設計などを進めています。

小さなものから大きなものまで賢く感じる眼と脳 <ロボットの感覚器から人工衛星による観測まで>

このような高度な脳型センシング/イメージングや脳型情報処理が重要な役割を演ずる分野は大変広く、インテリジェント・ロボットから地球・宇宙の観測まであります。たとえば、人工衛星レーダで地上を観測し、地形を正確に自動生成することも可能にしました。衛星搭載の干渉型のレーダを用いて地上を観測すると、図2(a)のような地上の高さに応じた干渉縞が得られ、これが一見、等高線のような役割を果たして高さを表します。しかし、実はそこには悪質な歪みがびっしり密に存在していて、普通のコンピュータが高度地図を作成することは非常に難しい。ところが、人間がこれを見ると、地形が想像可能です。そこで、人間のもつ「心の眼」の原理を明らかにし、それを利用して高さをより良く決定できる干渉縞を再構成して、そこから図2(b)のような高い品質の立体形状を構成することができるようになりました。われわれは、脳的な柔軟性やさまざまな分散的・適応的な手段を創造してゆきます。そして世界の人々が より安全・安心に心豊かに暮らせるよう貢献したいと、研究室一同頑張っています。

研究テーマ例

新たな脳型信号情報処理の原理開発と実用化:ニューラルネットワーク理論、特にエレクトロニクスに利用可能なもの、アンテナ:高機能アンテナ素子、賢いアンテナ・システム、センシング/イメージング:ミリ波・マイクロ波によるセキュリティシステム、対人プラスチック地雷レーダ・システム、地球計測のための脳型複素振幅画像処理、脳型機能の新たな可能性:生身の人間を超える機能の探求。

学生の皆さんに

思う存分 楽しいことができ、人も幸せにできれば、理想的です。研究の楽しさを早く見つけてください。詳しくは、ウェブページをご覧下さい。

図1:【原理の創造】脳の原理を工学的に明らかにします。そして明らかにしつつある脳の原理をさらに拡張し、新しいレーダ・システムなどの基礎を作ります。
図2:【発明と構築】脳型の新しい処理方式をソフトウエアとして形にするとともに、脳型システムを実現するためのアンテナなどのデバイスを発明します。
図3:【実現と評価】レーダ・システムを実際に作製し性能を評価します。また実地検証を経て、実際に役立てます。
図4:【小さなロボットから大きな地球・宇宙観測まで】これまで難しかった全地球観測技術の開発: (a)富士山の衛星観測データ(干渉型レーダ)と、(b)脳型処理で再現された富士山形状。これによって地殻変動などの自動観測を地球規模で可能にし、防災・減災や環境保全、CO2評価、農作物管理などに役立てます。